使用する炭は椚(クヌギ)炭です。強火力と香りの少なさが特徴です。なぜ炭火で乾燥させるかというと、強火力ということもありますが、なにより温度変化がゆっくりだからです。炭はゆっくり燃焼していきますので庫内温度もゆっくり上昇します。炭は時間を空けて少しずつ追加していきます。最初に炭を入れてから庫内温度が最高温度(60℃くらい)になるのは4時間後です。そこから6時間かけて常温に戻ります。この緩やかな温度の山が大切なのです。いきなり高温にしてしまうと「ひび割れ」してしまいます。また高温から一気に常温に戻してしまうと、リバウンドがおこり湿ってしまいます。ゆっくり上げてゆっくり下げるのが重要なのです。

打ちあがった葛菓子は、焙炉(ほいろ)の中に並べます。そして七輪に炭を入れて燃焼させ、庫内温度を上げます。葛菓子は自然乾燥ではなく、高温・低湿度で急激に乾燥させます。完全に水分を蒸発させることで、パリッとしたお干菓子に仕上がります。厳寒の時期に作り、炭火で乾燥させた葛菓子は、夏場の湿気でも湿りかえることはありません。

型打ちに使用する「木型」は桜の木から作られます。お干菓子だけでなく生菓子の型など、ほとんどの木型は桜の木から作られています。桜木の芯となる赤みの部分は非常に硬いので木型に適しているのです。木型職人さんが一本ずつ丁寧に彫りあげてくれます。これは芸術作品ですね。

中井春風堂の葛菓子職人 中井孝嘉が贈る 本葛菓子の新ブランド 「葛遊」

■ 極み・その四 「仕上げ」 ■

生地を木型にすり込みます。このすり込みで抜いた型の美しさが決まるのです。表面をきれいに均して指先で押し込みます。強すぎず、弱すぎず、適度な力加減で均一な硬さになるように整えます。基本的に見ないと思いますが、裏面もきれいに仕上げるよう心掛けています。

型打ちした葛菓子は木板に直接触れないように、和紙の上に並べます。乾燥しやすくする為と、木の香りが葛菓子に移らないようする為です。この和紙は吉野町の国栖(くず)という地域でつくられた「手漉き和紙」です。厚みがあり非常に丈夫なのです。葛の和名は、この国栖という地名から名付けられているんです。雑学として覚えておいてくださいね。

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