和三盆糖とは、さとうきびの一種「竹糖」から作られる上質な砂糖のことです。現在では和三盆を作る工場も徳島県と香川県で、ほんの数件だそうです。和三盆糖は普通の上白糖などに比べると、口当たりのやさしさ・口どけの良さは圧倒的に優れています。甘さも上品で、後癖の無いやわらかな甘さをしており、独特の香りがします。

葛根から取り出した良質な澱粉「吉野本葛」。葛菓子の為に微粒粉末に加工した本葛を使用します。お干菓子の質の決め手は、とろけるような口どけです。本葛は粒子が細かく非常に滑らかなのが特徴です。もう一つお干菓子に適した特徴があります。それは粘りの弱さです。本葛はジャガイモやサツマイモなどの澱粉と比べると、粘度は低いのです。一見、マイナスと思える特徴ですが、口どけ良いお干菓子を作る為には粘りは少ない方が良いのです。粒子の細かさと粘りの弱さ、この二つが最高のお干菓子を作るのに本葛を使用する理由なのです。

中井春風堂の葛菓子職人 中井孝嘉が贈る 本葛菓子の新ブランド 「葛遊」

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本葛菓子の為に選んだ和三盆糖は、徳島県にある服部製糖所さんの「大無類印阿波和三盆糖」です。上質な和三盆糖の中でも抜群の白さと滑らかさ、そしてなにより本葛の風味を消してしまわない極めて上品な甘さと香り。他の和三盆糖と食べ比べましたが、まさしく日本一の和三盆糖だと私は思います。直接工場にお邪魔して製造を見学させていただきましたが、社長さんの想いの強さと和三盆糖について語る時の笑顔が印象的でした。

■ 極み・その二 「生地合わせ」 ■