6種類の澱粉比較

今回、6種類の澱粉で見た目・食感の違いを観察しました。

 

・吉野本葛(葛根100%)

・吉野葛(葛根50%、甘藷50%)

・甘藷澱粉(さつまいも)

・馬鈴薯澱粉(じゃがいも)

・片栗粉(じゃがいもが主原料)

・タピオカ澱粉(キャッサバ芋)

以上の6種類です。

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分量は澱粉40gに対し水180gとし、透明になるまで鍋で煉りました。

 

6種類全て同条件で行っています。

とりあえず、見た目の結果はこんな感じです。

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色見の違いは、本葛・吉野葛・甘藷が黄色っぽく

馬鈴薯と片栗粉が無色透明に近いですね。

(片栗粉はジャガイモから精製されたものなので、当然の結果ですが)

タピオカはそれの間といった感じです。

 

食感・弾力についてですが、甘藷(さつまいも)は葛粉の代用に

使われるだけあって、葛粉に近い色見と食感です。

 

粘りで言うと、本葛より少々強い弾力です。

その為、約半分が甘藷である吉野葛は、本葛より弾力が出るわけです。

強烈な弾力が出たのが、馬鈴薯(じゃがいも)と片栗粉です。

正直、今回の分量では煉るのが必死でした。

もっと水を多くしないと、まともに煉れませんね。

 

タピオカ澱粉は練ってるときの感触は、まったくジャンルの違う感じです。

表現が難しいのですが、米粉のようなネットリ感みたいな・・・

煉り上がった瞬間は、ビヨーンと伸びるような弾力でしたが

冷水で冷やすと一気にプルプルに変化します。

なんとも変わった澱粉です。

 

総合的に見ると、弾力と滑らかさは対極にあるように思います。

馬鈴薯のように強い弾力のものは、滑らかさに欠けるため

ダマになりやすく、煉るのが難しいです。

本葛は他の澱粉に比べ、粘りは弱いですが圧倒的な滑らかです。

 

本葛の素晴らしさを伝えるのが私の使命なので、どうしても本葛を応援しますが・・・

 

他の澱粉と比べて、全てにおいて本葛が優れていることはありません。

しかし今回の実験で確実に言えることは、扱いやすいこと!

滑らかさは扱いやすさに繋がります。間違いなく

 

ちなみに、過去に行った「澱粉は時間の経過で白くなる」という

実験も同じようにやってみました。

完成から60分後がこちら ↓ ↓ ↓

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分かりにくいと思いますので、拡大して並べました。

まず吉野本葛から ↓ ↓ ↓

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そして、馬鈴薯澱粉 ↓ ↓ ↓

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本葛・吉野葛・甘藷澱粉は60分後には白くなります。

しかし、馬鈴薯・片栗粉は少し白くなった程度でした。

タピオカ澱粉に関しては、ほとんど変化がありませんでした。

これはもしかして白くならないのでは?と思い

馬鈴薯・片栗粉・タピオカ澱粉を一晩冷蔵庫で保管しました。

結果は・・・すべて真っ白になりました。

澱粉である以上、白くなるのは必然なようです。

それにしても同じ澱粉というジャンルでも、さまざまな違いがあるものです。

新ブランド「葛遊」

今回、私の思う葛の素晴らしさを表現する為

吉野本葛だけを使ったお菓子をご提供させていただく

本葛菓子の新ブランド「葛遊」を立ち上げました。

 
本葛の特徴を余すことなく伝える為

混じりけのない本葛を、できるだけ純粋かつシンプルに加工し

葛を楽しんでいただくことをコンセプトとしています。

 
最高の食材と、葛を活かすことを最重要に考えた物作り

 
「葛が美味しい」と言っていただけるお菓子の提供

そして、葛の新しい可能性を切り開くために

妥協なき物作りをしてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 

 是非 「葛遊」特設サイト をご覧ください。

 

「葛会」 開催

今日、初の試みである「葛会」を開催しました。

「葛会」とはお茶会風に葛を楽しんでいただこう、というもので

約15名の参加をいただき、葛のお手前を披露させていただきました。

 
1時間ほどでしたが、葛の基礎知識を説明しながら

葛の味や食感、そして吉野葛と本葛の違いなど

聴覚・視覚・味覚の3感覚で体験していただきました。

 
美味しいお茶を飲みながら、あまり堅苦しくならないように

やわらかいトークを心がけたつもりなんですが・・・

 
今回、基礎知識編として一番葛を感じることができる

「葛餅」を3種類おつくりさせていただき、食べ比べていただきました。

 
ほんとに初めての経験でしたので、不慣れな点も多々あったかと思いますが

それなりに葛に親しみをもっていただけたかなぁと自己満足しています。

 
一連の流れの構成作りや、製造環境を整える、トークの内容など

準備段階ですごくバタバタしたり、悩んだりしていたのですが

結果として一番たのしかったのは私自身だったようです。

これを踏み台として第2回・第3回と開催し

もっと充実した内容作りをしていきたいと思います。

 
今回の「葛会」にご協力いただいた皆様、そしてご参加いただいた皆様

本当に有意義なお時間をありがとうございました。

 

 

 

鉢植えの植え替え

店舗前に展示している葛の鉢植えを植え替えました。

秋の終わり頃から葉が枯れ始め、ツルだけになっていました。

 

 

 
この鉢も、まる3年経過しているので根の様子を見たかったんです。

太くなっている部分もありましたが

思っていた以上に、細かい根が増えていました。

 

 

 
 
新しく出てきた細かい根の中にも、太くなりそうなものが

たくさんあります。栄養が分散し、そのため本来、一番太かった根が

弱ってきている感じでした。あまり良くないですね・・・。

今後どのように成長するのか、引き続き見守りたいと思います。

 

葛=国栖

今回のお話は葛と直接関係ないのですが・・・

以前説明した内容ですが、葛という名前の由来について

 

Pueraria lobata 」というのが本来の学名で、葛は和名です。

この葛の名前の由来となったのが、吉野町にある国栖(くず)という地名です。

 
今日、この国栖で受けるがれている伝統工芸の「紙漉き」を見学してきました。

深い味わいのある非常に丈夫な和紙なのです。

 
材料は楮(こうぞ)という木の皮です。

柔らかく煮て、表皮を削ぎ落としてキレイな繊維だけを使います。

 

 

 
水槽の中で水とよく混ぜて、漉いていきます。

厚みを均一にするのがすごい技術なんです。なにせ薄~いですから。

そして漉いたものを重ねて水切りします。

 

 

 
一枚ずつ乾燥させ仕上げます。

きめ細かく真っ白な和紙は、主に障子紙になるそうです。

ホームセンターに売っている障子紙と比べると、かなり丈夫で温かみを感じます。

価格もそれなりに高価なので、障子に使用するにはチョット気合いを入れねば・・・。

ちなみに私の家では普通の障子紙です。お子が4人もいるとすぐに破るので(-.-)

 
お待たせしてしまっている「極上葛菓子」の包装に、この工房の和紙を使いたいと思います。

植さんという方の和紙工房です。家族でほんとにコツコツやってます。