葛湯が体に優しい理由

葛を使ったお菓子の中で

冬になると食べたくなるのが「葛湯」ですよね。

 

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お客さんのお声で一番多いのが

「葛湯って体に良いんでしょ」というお言葉です。

 

その通りなのですが、なぜなのか?

 

まずは粒子のサイズです。

葛根より取り出された澱粉は、じゃがいもや米、小麦の澱粉と比較すると

粒子の大きさが非常に小さいのが特徴です。

粒子が小さいので、仕上がりが滑らかになるわけですが

なにより、消化吸収に良いのです。

体調不良時は、胃腸が弱るのでなるべく消化に良いものを、、、ってことです。

胃腸に負担をかけず、すばやく栄養補給ができるのです。

 

 

二つ目に特有の薬効成分を持つことです。

薬効について分かりやすいのが

↓ ↓ ↓ これです。 ↓ ↓ ↓

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風邪をひいたら「葛根湯」

書いて字のごとく、原材料は葛の根です。

本葛粉は少々苦みを持っているのですが、それはこの薬効に伴うものなのです。

 

 

これらが、葛湯が体に良いとされる理由です。(今回は大まかな説明ですが、、、)

本葛粉は澱粉の中でも高価なものですが、いろんな優しさを持っています。

 

これから冬本番です。

一日一杯の本葛湯で体調管理してみてください。

 

「本葛湯」はこちらでお求めになれます。

温度差による白濁速度の違い

 

澱粉は加熱により水を吸い込み透明になる

そして温度の低下により離水し白濁する。

これが澱粉の基本です。

 

今回は・・・

低下させる温度の違いで白濁速度が

どれほど変わるのか、という実験です。

 

本葛と水で作った葛切りを使用します。

作ってすぐの葛切りを割り箸に引っかけて

水の入ったコップに沈めます。

水温は3℃と30℃の2種類で変化の違いを検証します。

 

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注: ・画像、左が3℃。右が30℃です。

・結露がすごくて、撮影毎に拭いていたのですが少し見にくいです。

・途中で氷を足しているので、水位が変わってます。

 

 

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以上が検証結果です。

温度の低下速度で白濁速度が変わるのがよく分かります。

とくに驚きは一分後ですね。

たった一分で白濁感がでてきます。

 

白濁は水を失うことなので、滑らかさや弾力を失います。

これからの時期、冷たい物が食べたくなりますが

葛を楽しむためには、あまり冷やさないことが大切なんです。

本葛の加熱時間

 

このブログで何度も説明したことですが

澱粉というものは、加熱をすることで水分を吸収します。

そして、粘りや滑らかさ、透明感が生まれます。

 

今回の実験は

「すばやく加熱」 と 「ゆっくり加熱」 の比較です。

沸騰までの時間が変わると仕上がりが違うのか?

というものです。

 

本葛湯を使って実験しました。

作り方は下記動画でご覧下さい。

 

 

まず、家庭用コンロで火力全開で加熱した場合

沸騰まで約2分かかりました。

仕上がりはこんな感じです。↓ ↓ ↓

 

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そして、家庭用コンロで中火くらいで加熱した場合

沸騰まで約4分かかりました。

仕上がりはこんな感じです。↓ ↓ ↓

 

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違いがわかるでしょうか?

 

写真では分かりにくいのですが、違うんです!

 

すばやく加熱した方よりも、ゆっくり加熱した方が

透明感や滑らかさが増しています。

急速に加熱するよりも、ある程度は時間をかけてあげる方が

キレイに吸水できるのです。

これは葛湯に限らず、葛餅や葛切りでも同じなんです。

 

上記を踏まえたうえで、もう一度ご覧ください。

 

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どうでしょうか?

透明感や滑らかさの違い、ちょっとは分かるのではないでしょうか。

 

ただ、加熱も時間をかけすぎると良くありません。

極端に時間が長くなると、粘りが減少したり糖分が焼けてしまったりと

質を落としてしまうことに繋がります。

気持ちとして、ほんの少し火力を落とすくらいが丁度いいです。

 

本葛を使いこなすためには温度を使いこなす!

微妙な調整が仕上がりを左右するんです。

葛のカロリーについて

たまにお客さんから聞かれます。

 

葛ってカロリー有るの?

 

あります!

 

葛粉は澱粉ですので、分類としては炭水化物になります。

普通に食べているご飯と同じなんです。

 

熱量としては100gあたり 347kcalです。

ちなみに他の澱粉はというと・・・

・さつまいも澱粉 332kcal

・片栗粉(じゃがいも) 330kcal

という感じで似たようなものです。

 

葛を使ったお菓子についてですが

当店の本葛切り一人前の場合

 

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葛切り 139kcal

黒蜜 30kcal

合計で169kcal となります。

 

比較として、白ご飯お茶碗一杯が150kcal ですので

それよりチョット多いという感じですね。

 

その他、参考スイーツとして

・どら焼き 一個 284kcal

・シュークリーム 一個 245kcal

といった感じなので、スイーツとしては低カロリーですね。

6種類の澱粉比較

今回、6種類の澱粉で見た目・食感の違いを観察しました。

 

・吉野本葛(葛根100%)

・吉野葛(葛根50%、甘藷50%)

・甘藷澱粉(さつまいも)

・馬鈴薯澱粉(じゃがいも)

・片栗粉(じゃがいもが主原料)

・タピオカ澱粉(キャッサバ芋)

以上の6種類です。

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分量は澱粉40gに対し水180gとし、透明になるまで鍋で煉りました。

 

6種類全て同条件で行っています。

とりあえず、見た目の結果はこんな感じです。

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色見の違いは、本葛・吉野葛・甘藷が黄色っぽく

馬鈴薯と片栗粉が無色透明に近いですね。

(片栗粉はジャガイモから精製されたものなので、当然の結果ですが)

タピオカはそれの間といった感じです。

 

食感・弾力についてですが、甘藷(さつまいも)は葛粉の代用に

使われるだけあって、葛粉に近い色見と食感です。

 

粘りで言うと、本葛より少々強い弾力です。

その為、約半分が甘藷である吉野葛は、本葛より弾力が出るわけです。

強烈な弾力が出たのが、馬鈴薯(じゃがいも)と片栗粉です。

正直、今回の分量では煉るのが必死でした。

もっと水を多くしないと、まともに煉れませんね。

 

タピオカ澱粉は練ってるときの感触は、まったくジャンルの違う感じです。

表現が難しいのですが、米粉のようなネットリ感みたいな・・・

煉り上がった瞬間は、ビヨーンと伸びるような弾力でしたが

冷水で冷やすと一気にプルプルに変化します。

なんとも変わった澱粉です。

 

総合的に見ると、弾力と滑らかさは対極にあるように思います。

馬鈴薯のように強い弾力のものは、滑らかさに欠けるため

ダマになりやすく、煉るのが難しいです。

本葛は他の澱粉に比べ、粘りは弱いですが圧倒的な滑らかです。

 

本葛の素晴らしさを伝えるのが私の使命なので、どうしても本葛を応援しますが・・・

 

他の澱粉と比べて、全てにおいて本葛が優れていることはありません。

しかし今回の実験で確実に言えることは、扱いやすいこと!

滑らかさは扱いやすさに繋がります。間違いなく

 

ちなみに、過去に行った「澱粉は時間の経過で白くなる」という

実験も同じようにやってみました。

完成から60分後がこちら ↓ ↓ ↓

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分かりにくいと思いますので、拡大して並べました。

まず吉野本葛から ↓ ↓ ↓

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そして、馬鈴薯澱粉 ↓ ↓ ↓

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本葛・吉野葛・甘藷澱粉は60分後には白くなります。

しかし、馬鈴薯・片栗粉は少し白くなった程度でした。

タピオカ澱粉に関しては、ほとんど変化がありませんでした。

これはもしかして白くならないのでは?と思い

馬鈴薯・片栗粉・タピオカ澱粉を一晩冷蔵庫で保管しました。

結果は・・・すべて真っ白になりました。

澱粉である以上、白くなるのは必然なようです。

それにしても同じ澱粉というジャンルでも、さまざまな違いがあるものです。